第2弾‼️ 清水竣平さん/東京大学 大学院 新領域創成科学研究科先端エネルギー工学専攻
- 清水竣平
- 9月18日
- 読了時間: 4分
更新日:9月19日

再びこんにちは。講師を務めさせていただいております清水です。
前回の寄稿が好評だったとのことで、嬉しいと同時に身の引き締まる思いです。今回、次のステップに向けた試験もひと段落しましたので、第2弾として筆をとりました。
今回は、いただいたご質問を中心に、自分なりに背景情報も交えて書いてみました。理系分野が主になりますが、文系にも通じる部分があるかと思います。
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研究活動(大学院)について
まず、大学院が何年間あるかご存知でしょうか。知らなくても大丈夫です。
大学院は修士課程(博士前期課程)2年と博士課程(博士後期課程)3年を合わせて、通常5年間あります。このうち「大学院卒」と呼ばれるのは修士課程を修了した場合が一般的です。
統計によれば、同世代の人口における割合は、大卒50.6%、修士課程修了5.5%、博士課程修了0.7%程度です(社会人博士を除く)。工学分野では、大学進学者のうち約36.4%が修士課程に進学しています。
では博士課程に進む大学院生は何をしているのか。日本の場合、一言でいえば「研究」です。流れとしては、文献調査 → 計画立案 → 実験などの実施 → 学会発表や論文発表、となります。学部や修士では与えられる課題が多いのに対し、博士では研究費を自分で獲得するなど主体性が求められます。
学年が上がるほど授業は減り、研究や事務的な作業が増えるのも特徴です。私自身も、連携講座の関係で事務作業に追われることが多いです。大学院生は最終的に修士論文を提出・発表し、学内での審査を受けます。現在、私もこの段階に取り組んでいるところです。
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高専について(その2)
KPの生徒から次のような質問をいただきました。
1. 高専で学ぶ技術や技能は、どのレベルまで習得できるのか?
2. 不器用でも大丈夫か?
1について
結論からいえば「上限はない」と思います。好きなことを、留年しない程度にやり切れば良い。高専には多様な人がいて、それぞれが好きなことに熱中し、ときには他人を巻き込んで楽しんでいます。これが高専の大きな魅力です。
下限は「社会に出てもなんとかやっていける程度」でしょう。資格取得に関しては工業高校の方が強制的に取らされることが多いですが、高専卒の評判が悪いという話はほとんど聞きません。求人倍率は20〜30倍と非常に高く(工業高校が6〜7倍程度)、進路の選択肢は広いといえます。私は個人的に、卒業後は進学をおすすめします。
2について
「不器用」でも学科によりますが大きな問題はありません。ものづくりや機械操作が中心のイメージがあるかもしれませんが、安全に気を配って作業すれば卒業には支障ありません。私も旋盤で何度も怒られた経験がありますが(笑)、それでもなんとかなっています。
むしろ大切なのは「興味があるかどうか」「思考が柔軟かどうか」です。興味がなければ5年間はつらく感じるでしょう。加えて、計算やプログラミング的な思考を使う場面も多いです。特に情報系は幼少期からプログラミングに親しんでいる人が集まるため、かなりハードルが高い「魔境」といえるかもしれません。
偏見を交えた「センスが必要な分野ランキング」をあえて挙げるなら、次のとおりです。
1. 情報系
2. 電子制御系・電気電子系
3. 環境都市(土木)・機械系
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観光客について
「大学に外国人観光客が増えているのか?」という質問もありました。私の体感ですが、確かに観光客は増えているように思います。家族連れで食堂を利用する方も多いですが、本来は関係者以外立ち入り禁止のはずなので疑問は残ります。入場料を設けても良いのでは、と感じることもあります。
最近特に驚いたのは、ガラス張りの講義室での様子が無断で撮影され、SNSで拡散されていたことです。まるで「東大の学生は動物園の動物かな」と思うほどでした。
また、留学生が多いのは、大学ランキングや文部科学省からの資金配分で「留学生数」が国際性の指標の一つになっていることが背景にあります。加えて、日本人の博士課程進学率が低いことも影響しているでしょう。
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参考資料
中央教育審議会大学分科会大学院部会(第81回)資料5(平成29年5月30日)



